医局員だより

前科長のぼやき、時々真面目

千田金吾 先生(医療法人 豊岡会 理事長)

前科長便り(2019年7月)

「前科長のぼやき」を執筆せずに、またまた随分時間が経ちました。
なかなか時間がなくて、、、、、、、
今回も時間がないので、過去の写真を掲載することで誤魔化そうかなと、、、

写真に載っている方のプライバシーとかの問題があるかどうかわかりません。しかし記念写真なので一般に公表されるのをある程度は承知されておられた、という前提で掲載させていただきます。とても懐かしい顔、顔、顔です。
問題がありましたらご連絡ください。削除の方向で検討させていただきます。

前科長便り(2018年10月)

「前科長のぼやき」を執筆せずに随分時間が経ちました。
決してサボっていた訳ではありません。以下にお示しします目次内容の本を執筆していたからです。
ようやく初校に漕ぎ着けました。

なにせ専門書ではなく一般の方向けの書物ですので、どこまで踏み込んで書いてよいやら悩みながらの作業でした。また内科全般にわたる内容であり、専門領域以外の部分をいかにわかり易く表現するか、浅学菲才の身には難しいものでした。

「良い講義とは、分かったつもりにさせるもの」、「難しいことを簡単に、簡単なことは面白く、面白いことは奥深く」というようなことを実践するのには相当な理解力が必要なのだと思い知らされました。
MRIの解説などがその例で、その原理が分かっていない者には解説は不可能と半分諦めました。詳しく調べて多くの記載も試みましたが、編集者から駄目出しをもらい、その結果5分の1くらいに推敲しました。

「独断と偏見と誤解」に満ちていると言われそうな内容ですが、大学を退職してから見えてきた物も多くありました。しかし書きたいことの半分くらいに抑えました。(執筆を思い立ったのは、以前、前科長のばやきに書いたような第10章を活字に残したかったのが1番の理由かも)


来年の1月17日に出版予定ですので、各ご施設の科長の先生、研究費があったら何冊かまとめて購入して下さいね (^ ^)






 

表題(仮題)

「非対称性な情報に満ちた医療において、知っておくべき医者とあなたの論理の行き違いを埋める100 のこと」



 

まえがき

これまで約40年間医療に従事してきて、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」を思い出すことがしばしばありました。それは患者さまと医師のそれぞれの思いに埋めがたい大きなギャップがあるのだと感じたときです。どちらも病気を良くしようと懸命に努力をしているのに、結果的に行き違いが生じてしまうのはなぜなのでしょうか。

オー・ヘンリーは短編の中で、妻は自慢の美しい髪を売って夫の懐中時計のための鎖を購入し、夫は自慢の懐中時計を売って妻のために櫛を買った、という行為を描いています。賢者の贈り物とはいえ、結果的に見れば2人の行動は愚かな行為に終わってしまいました。

私たち医師の仕事は100-1=0であって、一つのミスも許されないという気持ちで診療に当たっています。このため患者さまを救うという目的のためにこれまで医師は次のように考えがちでした。
それは、
「病気を治すためならば、多少患者さまに無理を強いたりすることがあるとか、情報は共有すると良い類のものもあるけれど、独占すべきときもあるのだ」ということです。
医師の本来の目的は過去も現在も変わりません。しかし目的は何であれ、それが手段を正当化するわけではありませんので、医師は患者さまへのアプローチや接し方に反省しなければならない点は少なくありません。私が長年内科の医師として臨床に携わってきた中で、最も反省すべき点は、患者さまと医者の間での「情報の非対称性(情報の偏り)」があまりに大きいことに思いを寄せてこなかったことです。

残念ながら情報社会になったとはいえ、情報量からは医者と患者さん両者が同じ土俵にいるかというと全く疑問です。
ですからそれを意識した対応を取らねばなりません。患者さんと医師は使う言葉さえ違うことがあります。
NHK という略語は、普通は「日本放送協会」の意味に取りますが、かまやつひろしさんは「ニッポン・ハロウィーン協会」の略語の意味で使われたことがあります(だじゃれでしょうが)。

理解するということは、お互いの違いを知り受け入れることから始まります。
本書はその間隙を埋めるべく過去の経験から学んだこと、医師側の裏話に触れた内容です。
本書により、患者さまと医師の溝、垣根がなくなることを希望しております。




 

第1章 医師を知り己を知れば、百戦あやうからず

1.はじめに、日本人のあなたが持っている五つの大きな悪い癖
 問題を正しく掴めば、半ば解決したも同然である(C.ケタリング)
2.いつ医者にかかればいいのか?
 あなたが掛かりたいと思った時に受診するのが最適、元気がないのは大事な訴え
 乗りかけた船にはためらわず乗ってしまえ(イワン・ツルゲーネフ)
3.どこを受診すればいいのか? 名医は金の草鞋を履いたら探せるか?
 三人 市に虎ありと言わば、王これを信ぜんか(韓非子)
4.技能に優れる医者はいいか?
 卵と玉子、食料と食糧、価格と料金の違いは、名医と良医の違いほどに重要ではない
 名医は良医ならず
5.口コミで医者を選ぶことはどうなのか?
 口コミは大事であるが、他人からの噂は話半分に聞いておく
6.薬の出し方で分かる医者の選び方
 限定された目的は人生を簡潔にする(村上春樹)
 ポリファーマシー(多剤併用)は、病態を複雑化させる
7.検査の説明の仕方でわかる医者の技量
 情報が多いほど思考は停止する(未詳)
 検査結果には情報過多という副作用がある
8.手術数? 5年生存率? は医者選びに役立つか?
 5年生存率という評価は5年前の実績の反映、つまり最新の治療成績ではない
9.看護師に聞くと、良い医者かどうか良く分かる
 仕事は仲間を作る(J. W. ゲーテ)
 看護師さんはいつも医者を評価して働いている
10.開業医と一般病院と特定機能病院の三つはどう違うのか?
 最初にかかるのは、良医と呼べる開業医が最適
 最良なる預言者は過去なり。(バイロン卿)
 開業医はサッカー選手、大病院の医師は野球選手
 開業医の看板はあてにならない
 では、なぜ標榜科が自由なのか
 和牛と国産牛の違い
11.大きな病院がやっぱりいい?
 大きいことはいいことだ(森永製菓エールチョコ)
 地元の基幹病院はメリット多い
12.大学付属病院の問題点 大学病院の信奉者へ
 大学附属病院の裏側を知ると怖い
 インパクトファクターって聞いたことありますか?
 大学には無医村状態になる時期が結構ある
13.大学附属病院に良医は少ないが、名医が揃っている
 大学病院指導者は名医であるが、蹄(ひづめ)の音を聞くとシマウマ※を思い浮かべる人たち
 やっぱり研究は大事、何千人もの人を救うことができる
14.がんセンターの問題点
 超専門化されたガンセンターは、ガン診療以外は「はてなマーク」が付く
 100-1=0である(帝国ホテルの教訓)
15.セカンドオピニオンを求めることは、恋とは違って二股、三股交際もあり
 一度道に迷うよりも、二度尋ねる方が良い(未詳)
16.インターネット情報の利用法には問題があるし、怪しい雑誌だっていっぱいある
 人間は活字になると何でも信じがちである
17. まだ確立したとは言い難い「免疫療法」が、ホームページには横行している
 オプジーボの呪い
18.統計に騙されない
 嘘には3種類ある、嘘、次に真っ赤な嘘、そして統計(マーク・トウェイン?)
19.医療では日本ならではの事情、あるいは日本人ならではの事情がある
 米国では運転教習でバックは教えない
 無作為化比較試験は日本の土壌に合わないことがある
20.診断名が下ったとしても、必ずしも医者が何かわかっている訳ではない
 腰が痛い時に、腰痛症と診断されたら納得できますか?
21.医者は、検査や治療について賢い選択(Choosing wisely)を目指している
 賢い人たちは同じように考えるものだ(未詳)
22.患者様と呼ばれて嬉しいですか?
 情報の非対称性と同じくらい怖いモンスターペイシャント
23.本邦の総医療費は高いか?
 パチンコ産業に比べたら総医療費は高くない
 日本の医療は、非市場経済である
 医療経済では、良いものが売れるというシステム下にはない
 

第2章 病院に行く時には、これを知れば成功間違いなし

24. 問診のコツ:医師はあなたに何を求めているか? それは症状の時間経過である
 受診の契機になった事柄を、時間経過を意識して歴史を語るように話す
25.問診のコツ:症状を訴える
 臓器を決めつけて訴えない、病名を決めつけて訴えない
26.インターネット情報は信用しない
 マスコミはしばしば「増すゴミ」と心得よ、ガーファの呪いから目覚めよ
27.あなたの思う以上に、生活背景は大切
 ひょっとしたら全ての病気は「生活習慣病」と言えるかもしれない
28.あなたの生活背景としての環境が、これほどに病気と関係している
 問診は診察の80%を占める。だから「生活習慣」や「生活環境」もうるさく問われる
29.アルコール綿に敏感かどうかだけだって、食道ガンになりやすいかが分かる
 日本人はアルコールの代謝に問題を抱えている
30.体温は測っても、記録しなければ意味がない
 手帳は未来の予定を書くものだけれど、現在や過去のこともちょっと記録しよう
 体温の正しい測り方はこうだ!
31.過去のデータ保存は未来への貯金
 お薬手帳は誰かに見せるもの、医療従事者に見せてこそ意義がある
 母子手帳は高校卒業時に、お祝いとして渡そう
32.ジェネリック薬ってどうよ?
 トイレの水を台所の水のように飲めるかどうかの違いだけ?
 

第3章 診療所や病院での検査の意義は

33.検査をすることが良いのか?
 目的は手段を正当化できない、つまり治療は検査を正当化できない
34.採血結果の評価
 「正常値」って言わないで「基準値」というが、この基準値内でも注意が必要なものはある
 異常かどうかの判断は、検査値の時間的変動も加味する必要がある
35.レントゲンの影響、被曝ってどうなの?
 胸部単純X線写真よりも、飛行機でニューヨークへ飛行する方が被曝は多い
36.CT検査とは
 放射線検査の一つで、被曝量は少なくない
37.PET検査の落とし穴
 PET を受ければガンの診断は完璧、と誤解されている
38.MRI検査とは
 水素原子核がないと真っ黒け
39.検診のあり方 空腹時の採血の問題点
 健康診断での血糖値検査は十分でない。なぜなら空腹時採血だから
 体の「錆さび」より怖い「焦こげ」
 困ったことに脂質代謝異常について、いまだに採血のタイミングが定まっていない
40.検診は受けるべきか?
 人は「自分は大丈夫」と根拠なく考える動物、転ばないと杖を使おうとしない
 症状がないイコール病気がない、と思いたいのが人間
 ガン検診とは、ガンと闘う第一歩か?
 ガンには、トリ型、ウサギ型、カメ型がある。(ギルバート・ウェルチ)
 

第4章 どのような病気と戦うのか? 戦うべき三つの大事な病態を知ろう

41.感染症   感染症を制するものは病気を制する
 病気の主な原因は感染症である、という事実
 一部のガン、動脈硬化の進展には「感染症」が関係している
42.ガン    ガンは寿命が延びれば避けられない
 体の設計図(遺伝子)に傷がついて起きる
 ガン幹細胞の存在仮説
 ガン治療に携わる医師には2種類いる、あきらめない医師、あきらめる医師
43.代謝性疾患 糖尿病は、粗食を生き抜いてきた末裔の日本人には避けられない
 血管年齢こそが健康状態を決める。なぜなら血管そのものが重要臓器であるか
 血管内皮細胞障害には「糖化」が問題
 われわれの血管は詰まりやすい
 

第5章 「いし頭」は医師だけではないけれど

44.医師は社会性に欠ける
 医者の常識は、一般社会の非常識
45.医者の専門性、バカ医者と医者バカは紙一重
 博士号は足の裏の米粒
46.医者ほどプライドが高い人種はいない
 医者には2種類しかいない、プライドの高い人とプライドが極めて高い人
 一般の社会人を経験してから、先生という免許が授与されるシステムが必要である
47.理不尽な靴屋の論理、もっと都合の良い医者の論理
 

第6章 症状からみた心配ごと よくある疾患と見逃してはいけない疾患

48.発熱、鼻水、咽頭痛
 「風邪は万病の元」と言うけれど、軽い症状では原則として医療機関にかからないこと
 風邪での受診は医療費増大を招いており、国の財政圧迫の原因となっている
49.万病は風邪症状で始まる! 万病は風邪の顔をしている!
 では、風邪症状の場合に医療機関にかかった方が良いときは?
 高齢者が風邪をこじらせたときには、食欲不振が重要な症状
50.寒いだけでは風邪は引かない
 三つの首(首、手首、足首)のケアをお忘れなく
51.痩せにも定義がある
 体重減少=痩せ、というわけではない
52.肥満
 肥満には型がある
53.めまい
 「持続するめまい」の患者さんを診ると、めまいを感じる医者は多い
 高齢者では、食事性低血圧症に注意
54.血尿 タンパク尿
 ストレスで血尿は出ない
 タンパク尿がなければ腎臓は大丈夫と言える
 尿は最大のデトックス経路、汗から排泄は嘘
55.夜間頻尿
 夜中に3回以上なら医者に相談
 心不全? 腎疾患? 糖尿病? 前立腺肥大?
56.むくみ
 体重が短期間に増えたら、むくみ
 むくみの原因は「新人の観光嬢」、夕方に靴がきつくなったらむくみ
57.貧血
 脳貧血というのは素人言葉です
 貧血の検査は貧血の治療をするために行うのではない
58.下痢と便秘
 便秘か下痢か 便の中の水分量が問題だ
59.食欲不振
 食欲があるかどうかは、一般状態を正確に反映している
60.気持ち悪い(吐き気、胸焼け、胃もたれ)
 胃を考える前に心臓の病気をまず除外し、女性ならPON またはMON を考える
61.腹痛
 上腹部痛も気持ち悪い場合と同様に、消化器以外をまず考える
 急性腹症ではないか
62.下血
 たかが痔と思っていませんか
63.息切れ
 肺の病気とは限らない
64.誤嚥
 誤嚥は頭の中の問題
65.眠られない夜のために
 パパちゃんと寝てる? 不眠が2週間続いたらうつ病はないか考えましょう
 命を縮める不眠や睡眠時無呼吸
 ベンゾジアゼピン系はやめよう
66.長引く咳
 咳止めを飲んではいけない時
 風邪として治療を受けて抗菌剤漬けになる怖さ
 3週間続いたら呼吸器内科を受診しよう、結核かも?
67.頭痛
 頭痛は医者にとって頭が痛い。なぜなら怖くない頭痛にまぎれて怖い頭痛があるから
 いつもと違う痛み、悪化する痛みでは怖い頭痛かもしれない
68.動悸
 ドキドキするのは、安静時か体動時か、それが問題だ
69.関節痛
 多関節が、左右対称性か、どのように痛むかである程度は診断が付く
 腰痛のときは念のために内臓の異常は念頭に置く
 

第7章 治療のポイント クスリはリスクだが、リスクをゼロにするのは非現実的である

70.原因療法と対症療法を分ける
 風邪に対してルル3錠やコンタックなんて、誤魔化し治療に過ぎない
 薬は必要悪と割り切る
71.病名はさほど重要でない。どちらかというと重症度が大事
 病名のみで病気の見通し(予後)が決まる訳ではない
 病気の予後は進展度、重症度によって決まる
 いわゆる風邪だって死ぬことがある
72.抗菌薬の出番
 乱用を指摘されて久しいが……。
 効かないのに、ウイルスが原因の風邪に抗菌薬が投与されている
73.ステロイドの出番
 ステロイド・ビジネスってご存じですか?
 止めるタイミングを考えて使用開始
 テレビの情報は面白おかしく、いろいろなことを誇張している
74.IT からの薬の情報
 手軽に情報を得られる弊害より、手軽に誰もが発信者になり得ることが問題
75.サプリメントは身体に良いか?
 サプリメントや健康食品は体に良いか?
 髪の毛の成分を食しても毛は生えてこない
 サプリメント利用で注意が必要なone,、two、three
 サプリメントを一つだけ選んでください、と言われたらビタミンD
 

第8章 大事な病気を知ると長生きできる

76. 三つの内科系の病気を知るだけで、健康寿命は延びる
 肺炎、高血圧、糖尿病は、自己管理が可能
77.肺炎 ワクチンはどの程度有効か?
 やっぱり怖い肺炎球菌による肺炎。
 ワクチンは有用ですので、まず肺炎球菌ワクチンについて理解しましょう
 毎年流行株が変化するインフルエンザのワクチンを受けないのは、犯罪に等しい?
 小児に重要なインフルエンザ菌ワクチン
 インフルエンザワクチン 卵アレルギーがあってもタマゴボールがOK なら大丈夫
78.高血圧症
 血圧とは何か?
 原因不明でも「本態性高血圧症」の診断名がある
 塩分は麻薬
 自己測定しなきゃ
 仮面高血圧って何? モーニング・サージ(surge、大波)に注意
 白衣高血圧って何?
79.糖尿病
 粗食に耐えられる我々日本人は、インスリン分泌能が低く糖尿病になりやすい
 酸化よりも身体の怖い糖化(糖質中毒)は、サイレントキラーの筆頭
 「ご飯一杯は角砂糖18個分」と言われてどんな印象ですか?
 隠れ糖尿病、食後血糖値を見なければダメ
 甘みは麻薬、ノンカロリーのために人工甘味料を利用するのは危ない
80.高脂血症
 脂肪と脂質の違い
 健診で測定される脂質の種類
 動脈硬化をもたらす中性脂肪、悪玉コレステロール、超悪玉コレステロール、レムナントコレステロール
 LDL-C の値そのもの、LDL-C とHDL-C の比率、非HDL-C、の三つが大事
 善玉コレステロールは果たして善玉か?
 悪玉コレステロールを減らすには?
 不飽和脂肪酸には、オメガ9、オメガ6、オメガ3がある
 シス型とトランス型
81.脳血管障害
 脳血管障害(脳卒中)には、詰まる(脳梗塞)、破れる(脳出血、クモ膜下出血)がある
 我々は怪我をしたらしっかり止血できる人の子孫だから、我々の血は固まりやすい
 脳血管の異常を疑ったらACT Fast(素早く行動を)を行う
82.食中毒
 いつ、何を、誰と食べたかの情報が大事
 ノロウイルスは、あなたの便が由来です
 細菌によるものでは、感染型と毒素型がある
 この世に毒など存在しない、有毒となる量があるだけだ(パラケルルス)
83.アレルギー性疾患
 最近ではどんどん増えている
 発症時期で病気がわかる
 すぐに症状が出るタイプと、時間を置いて出るタイプがある
84.不整脈 特に心房細動
 有名なN元プロ野球監督もこれにやられた
85.心筋梗塞
 中学高校生レベル
 大学生大学院生レベル
 知的社会人レベル
86.肝炎
 肝炎には大きく分けて四つある
87.性病
 必要以上に心配することはない、普通にしていればではあるが……キスは普通でない!
88.婦人科疾患
 女性を診たら妊娠と思え! Pregnancy or not(妊娠[プレグナンシー]か否か)
 女性を診たら悪性のものはないか検討せよ! Malignancy or not(悪性[マリグナンシー]か否か)
89.認知症
 物忘れと認知症の違いは?
 認知症の三つの主な原因とは
 認知症予備軍(軽度認知障害、MCI と略される)という概念
 

第9章 やっぱり「ガン」が心配なあなたへ

90.がんを巡る大きな五つの誤解
91.遺伝子に傷がついてガンができることがほとんど
 予防はDNAへの傷を防ぐことを意識すれば、かなりのものは防げる
 やはりタバコはいけない。依存性と有害性は大麻より高い
92.ガンもどき論争
 議論してはいけない状況にある
93.これからのガン診療、2020年には画期的なガン診断が一般臨床で使えそう
 リキッドバイオプシー(一滴の血液による生検)には大きな三つの流れがある
 線虫によるガン検査は、安価であるため最初のスクリーニングとして有用かもしれない
 

第10章 総理大臣、こんな事してよね。七つの提言

94.その1. 徴農制
95.その2. 宗教法人、公益財団法人などへの課税
96.その3. 税金の公平性
97.その4. 一票の格差
98.その5. 65歳以上の徴兵制
99.その6. 刑法における責任能力、死刑制度
100. その7. 国民投票制

佐藤篤彦先生を偲んで(2017年12月12日) 

 佐藤篤彦先生の追悼文を依頼され、是非とも書かせていただきたいと返事いたしました。この場をお借りして、佐藤先生がこれまで積み上げられた「業績」と呼吸器科医局員の誰もが感じている「感謝」を記したいと思ったからです。


 佐藤先生は、京都大学胸部疾患研究所から吉見輝也初代教授に請われて浜松医科大学第二内科呼吸器部門の責任者として赴任されました。私が入局したのとほぼ同じ時期ですので昭和54年のことです。
 当時は浜松医大附属病院が開院して間もない頃で3つの内科が合同でカンファランスを行なっていたものが、ようやく東10階(第二内内科)が開棟いたしました。
 今でこそ大きなグループとなった呼吸器グループですが、当時、呼吸器カンファランスは処置室で行われ、佐藤先生、今井先生、川勝先生そして私と4名での参加でした。
 このような何もない所から佐藤篤彦先生は呼吸器を立ち上げられ、現在の立派な組織の基礎を作ってこられました。


 組織というものは、維持することの困難さもさることながら、やはりなんと言っても立ち上げが大変に違いありません。正に無から形を作り出すマジックが必要であろうと思います。佐藤先生には確かにそのマジックがありました。


 そのマジック、立ち上げの原動力になったものは佐藤先生の持っている「バイタリティー」に他なりません。
 誰もが圧倒されるその存在感や呼吸器グループのまとまりの良さから、一部のMRさんに良い意味と思いますが「ヤクザ集団」みたいと言われたことがあります。ブルドーザーのような実行力をそのように呼ぶのであれば甘んじて受けよう、と先生は思われたものと推察致します。


 その「バイタリティー」にはいくつかの特徴がありました。


一つは、即決。
 アッという間に決定を下すその速さは気持ちの良いくらいでした。周りの私たちはそんなに早く決めていいの?と心配になったものですが、その勘たるや素晴らしいものがありました。
ごくごくたまに外しますが、、、、


そこで、君子豹変す。
 ひょっとすると朝令暮改と感じてしまった方もおられたかと思いますが、間違っていそうだと思えばサッと身を翻し、単に意見がコロコロ変わるのではなくその場の状況に的確に対応しておられたと感心しました。

さらに、謝ることにも躊躇はありませんでした。潔い方でした。
 偉くなる程にプライドが許さなくて頭を下げることはできないものですし、佐藤先生は人一倍プライドをお持ちの先生でした。
 にもかかわらず謝るべきところ、譲るべきところは後腐れなくわきまえておられました。


そして、細心にして大胆。
 以前、石橋の叩き方、渡り方で諸先生を語ったことがあります。
 中村二代目教授は「綿密に橋を叩く計画を立て石橋を叩き、石橋を渡る」
 須田三代目教授は「石橋の情報をできる限り仕入れて、石橋を叩いて渡る」
 ちなみに私は「石橋と判断したら叩かず、石橋を渡る」でした。
 このようなことで佐藤先生を描写すると
 「石橋を叩くのに最も適切な人を選び叩かせ、全てを任せ、叩かず渡る」
 大胆さの背景には細心な配慮がありました。


また、現在流行りのnudge。その先駆けであったと思います。
 「アレをしろ、コレはどうなった?」と私たち医局員が細かく研究内容をせっつかれることはありませんでした。「こんなことも面白いかも」とか「こんなことができたら立派な呼吸器グループになれる」とか、本当に上手に誘導されておられました。
 「金は出す。口はちょっとだけ出す」とおどけた調子で話されていたことを今更のように思い出します。


このように、佐藤先生は特殊な技能をお持ちの「ミスター行動力」と言える先生でした。


 佐藤先生は常々「吉見先生が自由にやらせてくれるので、本当に有難い」とおっしゃってみえました。感謝の気持ちも外連味なくしばしば口にされておられました。
 吉見先生を石橋の渡り方に例えると「良きに計らってもらえば、渡るのも良し、渡らぬも良し」と言った風情の先生でしたので、吉見先生の下で佐藤先生は羽ばたかれたと思います。
 このように第二内科は自由闊達でスポーツの二内と呼ばれました。野球のチームも結成されユニフォームもありました。ちなみに佐藤先生の腕前はプロ裸足でした。


 以上のような雰囲気を慕って多くの医局員の方が第二内科呼吸器グループを目指して入局されました。須田先生以降の主任教授もこの雰囲気を堅持していくことを願い追悼の言葉としたいと存じます。


 佐藤篤彦先生に対する追悼文としては、短すぎるというご指摘があるやもしれないくらい我々は感謝をしております、合掌。      

2017.12.11記

判断を迫られた時に、あなたはどのように決断をしていますか?(2017年5月)

我々は日々、もっと言えば瞬間々に判断を迫られ、決断の連続の中で生きていると以前書きました。
理事長になって決断することが大事だと再認識する機会が多くなりました。
改めて考えさせられるDan Gilbertの話を聞く機会がありました。
 
決断をするには:
経験、直感、好き嫌い、他人のアドバイス、権威の言葉、宗教、その場の空気、、、など色々な因子がありますが、組織を運営するとなるとやはり「損得」でしょうか。
ですから、簡単には(Σなど省いて書くと)
Expected Value(期待値)= Odds of Gain(確率) × Value of Gain(価値)
であるので、コイン投げゲームで表が出れば100円をもらえるゲームで、その参加費が30円ならば、期待値は100円×1/2=50円となり参加するが得であると想像できます。
 
しかし、人生はそれほど甘くなくてOddsとValueがそうは簡単に推定できていないのが現実です。
今日、後輩の皆さんに伝えたいことは、いとも容易に確率あるいは価値の判断が出来たと思って行っている決断が、しばしばいい加減であることがあるということです。
 
最初に確率の不確かさについて:
我々は外国人による犯罪を心配しています。移民を忌避する気持ちの一因となっていると想像できます。
外国人の犯罪がなければ日本の刑務所はガラガラなどという都市伝説の背景には、外国人による犯罪がことさら大きく取り上げられることがあります。
このことが確率を思い浮かべる上でかなりの影響を与える結果となります。つまり判断が間違うことが起こることになります。
飛行機事故とかテロを気に掛ける理由は、出会ったら確実に死んでしまうこととそうでないことで差があるからという一面に加えて、飛行機事故やテロがあるとこれを大々的にニュースにするからで、交通事故で年間に4,000人以上も死んでいく人のことは、飛行機事故やテロ程にニュースに取り上げられません。また、自殺者が年間25,000人以上いて、そのうち貧困が原因の方が4,500人を超えているのですが、これもあなたの注目を引いたことはありますでしょうか?
 
このように確率は不当に評価されることが、普通に行われています。
 
また実際は確率が変わらないのに、確率が低くなったように感じてしまうことがあります。その例として:
宝くじが10枚あります。1枚100円。1枚が当たりで、これを引くと2,000円貰えるとすると、期待値は1/10×2000=200円ですから多くの人は買い!でしょうか。
しかし同様に、宝くじが10枚あり1枚100円、1枚が当たりで、これを引くと2,000円貰えるとしますが、もしもあなた以外の誰か、例えば私がまとめて9枚買っていたらあなたは先ほどより当たる見込みが低い、と感じて買わない可能性が高いのではないでしょうか。
 
次に価値の不確かさについて:
価値観が場面時間比較によって大きく変わることは皆さん経験済みです。
 
商売人のトリックで見られる松・竹・梅の設定では、松を高めに設定することで竹がリースナブルに思わされています。
ワインの展示においては、必ずとてつもなく高価格のものを横に陳列するのだそうです。1,000円、2,000円、3,000円であれば2,000円のものが購入されますが、1,000円、2,000円、3,000円の横に6,000円のワインがあると3,000円のものも売れるのだそうです。
我々の価値判断なんて所詮そんなものです。
 
もっとがっかりする例は、劇場にあなたが向かう場面です。
あなたは1,000円で購入したチケットと1,000円を持っていました。劇場に着いた時、チケットを紛失したことに気づきました。果たして新たにチケットを購入しますか?ちょっと躊躇しませんか?
 
あなたは2,000円持っていました。劇場に着いた時、1,000円を紛失したことに気づきました。残った1,000円でチケットを購入しますか?多分する?
 
劇場に入場するためにはどちらも2,000円を使うわけですが、比較、過去との時間的比較は重要な要素になってしまいます。
 
私は組織をまとめる者としていつも「12ヵ月後に500,000円儲かるけど、13ヵ月後なら600,000円儲かるかもしれないがどうする?」といったような問題に直面しています。
上記の問題に対する答えは迷わないでさらに1ヵ月を待ちます。 しかしながら「今なら50,000円儲かるけど、1ヵ月後なら60,000円儲かるけどどうしようか?」となると結構悩むところです。 待つのは同じ1ヶ月なのに、、、、、
 
確率も価値観もなんと頼りないものなのでしょうか。
 
頼れるのは「直感」だけかも。
直感を磨きましょう、という陳腐な結論?
確かに恋人は直感で選ぶ必要がありそう。

入局先を迷っている若者へ、内科はいかがですか? 医局員の皆様へ、今年の目標は決まりましたか? (2017年2月)

最近はネットを見る機会が以前より多くなり、意外に面白い記事に遭遇します。
 
今回まず、現在研修中でこれからの行き先を迷っている医師の皆さんや、浜松医大呼吸器内科のホームページでも見て今後の参考になんていう学生さんへ。
以下の絵を見て次の質問に答えてください。
このようなシャーロックホームズのような推理を働かせて診断に至る面白さが、内科学、特に呼吸器病学には存在します。
このような問題解決をつまらないと思わなかったあなたは、内科向きだと思います。是非内科へ。
 
 
 
次に、日ハムの大谷選手絡みの面白い、そして非常に役に立つ記事です。既にご存知の方も多いかもしれません。曼荼羅チャート。
 
彼はドラフト会議で1位指名を8球団から得る、という目標を立て、それを実現するためになすべき事項を8つ書き出しました。
球のスピードを160 km/hにする、変化球を磨くなど。
 
そしてさらにそれぞれの項目を現実化するためにさらに細かに具体的な目標事項を8つあげています。
大谷君ほどの人をもってしても「運」を挙げているのは興味深いですね。その運も引き寄せるための努力項目は、人間形成に関することでまたまた感心します。
 
若い頃にこのような目標の整理ができていれば、実行できないまでも今の自分と違う自分がいただろうと残念に思う次第です。
皆さんも一度考えて見てください。
ちなみに、以下のマンダラチャートは現在私のいる法人内でディスカッションして埋めてもらっています。